はいどうもこにちはカミツー編集長です。
最近急に寒くなって日本の秋はどこ行ったって感じです。こういう時って、インキの管理が難しいんですよねぇ。
そのへんの話はそのうち書きますね。
さて本日のお便り。
「フリーのデザイナーをしていますが、印刷までまとめて頼まれることがあります。その場合、だいたいネット印刷で済ませてしまうのですが、地元の印刷会社さんも知らないわけではありません。ネット印刷と地場印刷会社は、何を基準に使い分けるといいのでしょうか?」
はいこれ、なかなか悩ましい質問です。
なぜなら、ネット印刷会社が物凄く優秀になっているからです。
正直、いろんな印刷会社さんとお取引しましたけど、印刷技術のクオリティとその安定性という点においては、ネット印刷はあまり言うことがありません。
複数の印刷物を1枚の紙に並べて印刷するギャンギングだと、湿度やインキ濃度、回転数や印圧、水のpHなどを、常に一定の状態に保たないと、ロットや面付けの場所で色が変わってしまいます。なので、印刷環境を標準化することが重要です。そうすると、印刷品質は急激に安定することになります。これがネット印刷会社の品質が高くなる要因です。
中小規模の印刷工場では、湿度や温度の問題をクリアするには工場を建て直さないと標準化できない場合もありますから、なかなか太刀打ちできません。
また、1回の準備で複数顧客の印刷物を印刷するわけですから、1枚の紙に面付けされる顧客の数で準備コスト(刷版や、刷り始めまでの調整に必要な予備紙や時間)の負担額を分け合う分だけ、当然料金は安くなります。
地場印刷会社って必要なん?
ところが、逆に考えるとどうかって話です。
印刷工場が標準化されているということは、色調のカスタマイズは全てデータで行うしかありません。そうすると、もうちょっと赤くとか、黄色み下げる、とかっていうのは全てデータ上でパーセンテージを変更するわけです。色の変化は刷ってみないと厳密にはわかりません。そうなると、色調を修正するたびに色校正をしないといけなくなるのです。
これが地場印刷会社だと、印刷オペレーターが刷り出しの調整時に色を見ながら、印刷機のパネルでインキ濃度を変更して、好みの具合にもって行きます。
まさに職人技です。
それから、ギャンギングということは、同じ紙で印刷する予定だったクライアントが1社脱落すると、準備コストの分担額が跳ね上がります。だから、ネット印刷では注文(もしくは入稿)確定後は基本的に脱落させたり大きな変更をさせません。つまり、ギリギリになって「注文の数が増えたんで印刷数増やして!」とか「間違いが見つかったんで印刷中止してくれ!」などという叫びは届きません。無常にも注文した数、入稿したままの姿で予定通りの期日に現れます。足りない分は追加で別途注文することになりますし、もし致命的なミスがあって使えないものなら、まるまるもう一回お金を払って印刷しないといけません。
こういうことから私は、直前まで変更入りそうだなー、とか枚数がなかなか確定しなさそうな案件は、地場の印刷会社さんに事情を話して、心の準備をしてもらった上で発注しています。そうすることで、ギリギリに変更をかけても断られるリスクが減ります。また、お客さんには「変更するってのは大変なんだから、直前の変更は金額上がるからね!」と見積に記載したりします。
こうすることで、クライアントのニーズを満たしつつ、状況に応じた使い分けができるようになるんです。
ちなみに印刷会社は「工場が空くこと」を最も嫌いますので、校了遅れ、入稿遅れが一番嫌われます。なかなか校了してくれないクライアントは、教育していかないと自分の首を絞めますよ。